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埋没法の失敗に対して
訴訟したいときは?

埋没法の失敗について患者側と病院側の主張が食い違い、問題がこじれてしまった場合、訴訟に発展してしまうことも。このページでは、美容医療関係の訴訟にともなうハードルや、トラブルを防ぐために知っておきたいポイントについて紹介します。

美容整形に詳しい弁護士に相談する

埋没法のような美容整形に関するトラブルで納得のいく結果を得るためには、美容医療の分野に詳しい弁護士に相談することが大切です。

そもそも医療訴訟には、一般的な訴訟で求められる法知識に加え、医学に関する専門知識や、協力医の援助が必要となります。また、治療の成否というよりも見た目の美醜が争点となりやすい美容医療の分野では、「損害賠償の対象となる後遺障害が起きた」と認定されること自体が難しいことも。

訴訟を検討する際は、医療訴訟、とりわけ美容整形に関する訴訟について豊富な知識と実績をもつ弁護士を見つけることを意識しましょう。

美容整形は裁判にしにくい

美容整形に関するトラブルは、裁判になりにくいと言われています。

例えば、平成30年度にPIO-NETに登録された美容医療サービスにおける相談件数は1,980件にのぼります(※1)。しかし、美容医療に関係が深い形成外科における平成30年度の訴訟件数は、わずか24件(※)。何らかのトラブルに見舞われた後、訴訟に踏み切る人の数は決して多くないことが推察できます。

※1 参考元:独立行政法人国民生活センター「美容医療サービス」より

※2参考元:最高裁判所「医事関係訴訟の現状」より

裁判に発展しにくい主な理由としては「患者側の心理的負担が大きい」ことや「費用対効果が合わないことが多い」ことが挙げられます。

裁判を起こすとなれば、患者側は施術前後の写真を提出したり、自身の容姿について事細かに言及されたりすることも。裁判は公開の法廷で行われるため、このようなプライバシーに深く関わる事柄も公に晒さなければなりません。

また、傷害に対する慰謝料は入院や通院にかかった期間によって上下するため、日帰り手術や短期通院での施術が多い美容整形の分野ではさほど大きな金額にならないのが一般的です。

そして、仮に整形の失敗による外貌醜状(人目につく部位に傷跡などが残ること)が後遺障害と認められても、慰謝料は低額に留まるケースがほとんど。モデルやタレントのように見た目に左右される職業にある人でない限り、顔などに傷が残っても労働能力にまでは影響しないとみなされるためです。

美容整形に関する訴訟での賠償額はケースによっても異なりますが、一般的には治療費プラス50~150万円程度となることが多いようです。美容整形の失敗による心身の負担に、さらに裁判にともなう精神的・経済的な負担も加わることを考えると、とても割に合わないと感じる人も少なくないでしょう。

医療ADR制度を活用するという手も

「訴訟を起こすのは難しいけれど、泣き寝入りはしたくない」という場合には、弁護士会による「医療ADR」の制度を利用するという方法もあります。

医療ADRとは、裁判ではなく当事者間の話し合いを支援するための手続きのこと。医療紛争について経験豊富な弁護士3人がそれぞれ医療機関側代理人・患者側代理人・仲裁人となり、公正かつ適切な話し合いによる問題の解決を目指します。

医療ADRは裁判と異なり出廷義務がないため、相手側が必ずしも出席するとは限らないというネックがあります。しかし、その一方で「患者側の気持ちを直接医療機関に伝え、真摯な反省を促せる」「具体的な再発防止策の説明を求められる」「非公開の手続きであるため、プライバシーが保たれる」といった、裁判では得にくいメリットもあるのです。

期間や費用の負担も訴訟に比べて少なく、選択肢の1つとして考えてみてはいかがでしょうか。

国民生活センターも注意喚起を行っている

国民生活センターが運営する全国消費生活情報ネットワークシステム(PIO-NET)のデータベースによると、美容医療のサービスに関する消費生活相談は、毎年2,000件前後で推移していることが分かっています(※)。主な相談は契約内容や解約条件に関するものですが、中には「施術により傷ややけど等の危害を受けた」といったケースも。こうした事態を受け、国民生活センターでは、美容医療サービスを受ける前に次のようなポイントを確認するよう注意喚起を行っています。

美容医療の施術は、病気やケガを治すものではなく、より良い自分を手に入れるために受けるもの。そのため、今すぐに受ける必要はないことがほとんどです。納得できない点や不安な点がある場合はうやむやにせず、時間をかけてじっくりと考えてから施術を受けましょう。

※参考元:独立行政法人国民生活センター「【若者向け注意喚起シリーズ」より【PDF】

日本美容医療協会の見解

美容医療における専門の医師集団であり、良質な美容医療の提供のために20年以上に渡って活動を続けている日本美容医療協会。そんな同協会では、美容医療をめぐるトラブルを防ぐために次のような見解を示しています。

美容外科治療はほとんどが「手術」であることを理解する

美容外科領域の治療は、その大部分が「手術」です。埋没法による二重形成術のように針やメスを使う施術はもちろん、体に侵襲を加える行為であるという意味では、ピーリングやレーザー照射といった施術も手術行為に含まれると考えることができるでしょう。

手術には、必ず修復過程があります。例えば埋没法のような二重形成術の場合、術後の修復過程における腫れによって、一時的に二重の形に左右差が生じることも。

そして、体の組織にダメージを与える行為である手術には、常に合併症のリスクが付きまといます。合併症の範囲は広く、その程度の大小もさまざまであるため、患者さんが事前にすべてを把握しておくのは困難かもしれません。しかし、とくに大きな合併症のリスクに関しては、施術を受ける前に十分理解しておく必要があります。

施術を行う医師は、その治療にともなう修復期間や合併症のリスクについて、あらかじめ十分な説明を行わなくてはなりません。また、患者さん側は治療を焦ることなく、医師の説明をしっかりと理解し、きちんと納得してから施術を受けることが大切です。

患者側は取捨選択を行う努力が求められる

美容医療におけるトラブルをできる限り減らすためには、医療機関側と患者さん側の双方の努力が必要です。

医療機関側は、施術前にしっかりとした説明を行うのはもちろんのこと、その説明をいかに分かりやすく行うかについても常に工夫を凝らさなくてはなりません。また、患者さん側にも、自ら積極的に情報を求め、適切な医療機関や施術方法を選び取るための努力が求められるでしょう。

数ある医療機関の中には、残念ながら医師の勉強が不足している病院や、儲け主義に走る病院も見受けられます。中には誇大な広告をもって、患者さん側に過剰な期待を与えてしまう病院も。

トラブルを防ぐためには、患者さん側が美容医療に過度な期待を持ちすぎず、どうしてもその病院でその施術を受けたいかどうかをじっくりと考える姿勢も重要となるでしょう。信頼できるクリニックかどうかを見極める自信がない時は、家族や友人と一緒にそのクリニックを訪ねたり、他の医療機関でセカンドオピニオンを受けたりするのも手です。

美容整形外科の選び方

美容医療での失敗のリスクをできるだけ減らすためには、確かな技術とともに、患者に対する誠意を持ったクリニックを選ぶことが重要です。広告などの謳い文句ではなく、医師の経歴やカウンセリングの丁寧さ、治療後のフォロー体制などをしっかりと見極めましょう。

次の項目では、クリニック選びにおいて特に注意しておきたいポイントを紹介します。

こんなクリニックに要注意

まず、即決を迫るクリニックは避けたほうが無難です。患者さんが施術についてしっかりと理解し、納得したうえで施術を受けること(インフォームドコンセント)を大切にし、慎重に契約を検討する意思を尊重してくれるクリニックを選びましょう。リスクに関する説明をきちんと行わないクリニックも同様に、避けたほうが賢明であると言えます。

また、料金表示が分かりづらいクリニックにも注意が必要です。中でも気を付けたいのが「〇〇円~」といった具合に上限をはっきりと記載しない表現。契約に至ってから後悔しないよう、費用については事前にしっかりと確認しておきましょう。

そのほか、「説明を担当する医師と施術を行う医師が違う」という状況も要注意。引き継ぎ時の伝達ミスといったトラブルを防ぐため、ひとりの医師が一貫して説明からアフターフォローまでを担ってくれるクリニックを選ぶとよいでしょう。

ビューティー編集チームより
埋没法が失敗だったと考えている人へ

コンプレックスを解消するために埋没法の施術を受けたにも関わらず、「失敗したかもしれない」と思い悩むのはとてもつらいものです。まして、訴訟の2文字が脳裏をよぎるとなればなおさら、その心痛は計り知れません。

悩んでいる人の中には、訴訟よりもまずは今の目元の状態を改善することを優先したいと考えている人もいるでしょう。施術を受けたクリニックに不信感があり、抜糸や修正を頼むのが不安…という時は、他院抜糸や他院修正を受け付けている別のクリニックに相談するという方法もあります。

信頼できるクリニックを見つけて、1日も早く不安な気持ちを解消しましょう。